なぜ日系企業は中国で売れないのか|現場で10年見てきた失敗の共通点

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私はこの10年以上、日本の商品を中国市場へ届ける現場に関わってきました。食品、日用品、美容、健康商材、雑貨まで、数多くの日本商品を中国市場で販売してきました。売れた商品もあれば、本来伸びる力があったのに途中で止まってしまった商品も数えきれないほど見てきました。

その経験から、はっきり感じていることがあります。

中国市場で売れない日系企業は、市場に負けているというより、社内のやり方で止まっているケースが非常に多い ということです。

中国市場は確かに簡単ではありません。競争も激しい。変化も速い。現地ブランドも強い。

ただ、私は中国市場が難しいとは思っていません。

日本企業が、日本のやり方のまま行くことが難しいのです。

日本国内市場は、人口減少、人手不足、価格競争、コスト上昇が続いています。これから5年、国内だけで自然に伸びる企業は限られてくるでしょう。そうした中で、中国市場進出、中国販路開拓、中国EC、中国越境ECは、現実的な成長選択肢の一つです。

それでも結果が出ない企業には、共通点があります。

失敗例① 日本で売れた商品をそのまま中国へ持っていく

これは今でも最も多い失敗例です。

日本で人気の商品、品質に自信のある商品、長年売れてきた定番商品。それを中国へ持って行けば売れると考えてしまう。

しかし、中国消費者が見ているポイントは日本と違います。
  •  SNSで話題になっているか
  •  見た目が新しいか
  •  コスパが良いか
  •  友人に勧めたくなるか
  •  今の生活に必要か

良い商品であることと、中国市場で今売れる商品であることは別です。

中国販売戦略では、商品力だけでなく、見せ方・価格設計・話題化・販売導線まで含めて考える必要があります。

失敗例② 中国子会社があるから大丈夫と思っている

これも非常に多いです。

中国現地法人がある。日本人責任者もいる。だから販売も任せられる。そう考える企業は少なくありません。

しかし実際には、その中国子会社が製造管理、品質管理、総務、財務など管理機能中心で、中国EC、中国SNS販売、中国消費者マーケティングに強くないケースも多くあります。

さらに、本社から赴任した責任者が、
  •  現地トレンドを知らない
  •  小紅書やDouyinを使わない
  •  中国価格感覚が分からない
  •  スピード感が合わない

この状態で市場を動かそうとしても、結果は出にくいです。

中国に会社があることと、中国で売れることは全く別です。

失敗例③ 意思決定が遅い

中国市場はスピードが速いです。

新商品、トレンド、SNS話題、競合価格、販促手法。数か月で変わることも珍しくありません。

その中で、

現地提案 → 本社会議 → 稟議 → 再確認 → 来月決裁

この流れでは、商機を逃します。

日本企業の慎重さは強みです。ですが、中国市場では、慎重さが機会損失になる ことがあります。

失敗例④ 管理を優先しすぎて販路を閉じる

私は現場で何度も見てきました。

中国で商品が売れ始める。口コミが広がる。複数販売者が興味を持つ。市場が伸び始める。

そのタイミングで、メーカー側が、
  •  総代理店一社制
  •  中国子会社経由のみ販売
  •  他販売者への供給停止
  •  価格維持のため販路制限

こうした判断をすることがあります。

日本国内では理解しやすい考え方です。ですが、中国市場では逆効果になる場合があります。

なぜなら、中国では販路が非常に多いからです。
  •  ECモール
  •  ライブ配信
  •  小紅書口コミ
  •  WeChatコミュニティ販売
  •  地方販路
  •  越境EC
  •  ギフト市場

販売者が増えることは、競争相手が増えるだけではありません。

市場で商品を広めてくれる人が増えることでもあります。

価格は守れても、売上成長を失う企業を私は何度も見てきました。

失敗例⑤ 通関対応への理解不足

最近、特に増えているのがこの問題です。

中国向け輸出では、以前より通関審査が厳格化しており、商品によっては多くの資料提出が求められます。
  •  成分表
  •  原材料証明
  •  製造工程資料
  •  商品仕様書
  •  ラベル情報
  •  各種検査証明

ところが、日本の工場やメーカーの中には、
  •  情報提出に慎重すぎる
  •  前例がないので断る
  •  社外提出を嫌がる
  •  リスクだけを見て止める

こうした対応も少なくありません。

その結果、商品は中国へ入れず、中国輸出の機会そのものを失います。

商品力があるのに、書類対応で市場参入できない。これは非常にもったいない話です。

それでも中国市場が魅力的な理由

中国市場は難しいです。ですが、魅力も圧倒的です。
  •  市場規模が大きい
  •  中国EC販売力が強い
  •  SNS拡散力がある
  •  新商品の浸透が早い
  •  売れると一気に伸びる

実際に、資生堂 は中国市場で長年強い存在感を維持しています。長期投資と現地理解の積み重ねがあります。

スシロー も、中国で大きな人気を集めています。単なる寿司ではなく、日本体験を売っているからです。

中国市場が悪いのではありません。
やり方が合っていない企業が苦戦しているだけです。

5年後に差が出る

これから5年、日本国内人口はさらに減り、競争は続き、コストも簡単には下がりません。待っていて自然に売上が伸びる時代ではありません。

一方、中国市場進出、中国販路開拓、中国越境ECに取り組む企業は、新しい売上源を持つことができます。

国内だけの会社か。
外でも売れる会社か。

この差が、5年後の企業価値を大きく分けると私は見ています。

結論

中国進出で失敗する日系企業は、市場に負けているのではありません。
  •  社内判断が遅い
  •  現地理解が浅い
  •  管理しすぎる
  •  日本の成功体験を捨てられない
  •  通関対応が弱い

この内部原因で止まっているケースが非常に多いです。

中国市場で勝つ企業は、商品力だけではありません。

自社のやり方を変えられる企業です。

中国市場で勝てない企業は、海外で負ける前に、社内で止まっています。
今後5年、その差はさらに広がると私は見ています。