フォワーダーに輸入通関手続きを依頼すると代行費用が発生しますよね。あなたはこの時、どんな名目で何の費用がいくらで計上されているのか、課税・非課税の有無や費用の相場など、請求書に記載された明細や内容を全て理解できていますか?今回は輸入時においてフォワーダーから送付される請求書の見方を解説していきます。輸入区分や税関検査の内容により請求項目やその内訳金額が必ず異なってくるため、正しい理解が必要です。
▼この記事で分かること▼
・フォワーダーから受け取った請求書の見方
・請求明細の各項目の意味、区分で変わる請求項目
目次
1. 実際の請求明細
では、実際にフォワーダーより受領した請求書をもとに、各項目について見ていきます。
依頼先のフォワーダーや発生する項目によって請求書の内容に多少のバラツキがあります。しかし、請求書の内容を見てみると輸入通関において必ず発生する項目と、必ずしも発生するわけではない項目に分けることができるんです。こちらの請求書の場合はどうでしょうか。
この請求書は、輸入許可証にて「3K」(検査場検査での貨物検査)との表記がありました。「3K」はつまり、検査場での貨物検査の対象であるため、この請求書には検査の作業代として発生している項目があることが分かりますね。(赤枠の部分に該当します。)
2.必ず発生する項目
先ほどご紹介した請求書では記載が無い項目もありますが、輸入通関業務でフォワーダーより請求される項目は大きく下記の通りになります。料金の相場感や課税の有無についても確認していきましょう。
2.1.輸入申告料(輸入通関費)
申告書1件につき11,800円発生します。こちらの金額は過去に法律で制定されていた金額が現在もフォワーダーの相場として踏襲されており、どこのフォワーダーであっても基本的には1件につき11,800円と考えてよいでしょう。また、輸入申告書に記載できる区分数(=欄数、つまりHSコードの数)にはルールがあり、
HSコード2区分目まで 1件:11,800円
HSコード3区分目から6区分目まで 追加でもう1件なので+11,800円
HSコード7区分目から10区分目まで さらに追加でもう1件なので+11,800円
…と区分数が増えれば上記のルールで金額が増えていく仕組みになっています。そしてこの項目は【非課税】の項目です。
2.2.通関取扱手数料
フォワーダーに対して発生する通関手数料のことを指します。相場は10,000円ほどですが、各社バラツキがある項目です。また、荷物の量や内容など利用状況によっても変動するケースがあります。こちらは【課税】の項目です。
2.3.アライバルノーティス(AN)
アライバルノーティスとは到着する前日、または、数日前に船会社が発行する貨物到着案内のことを指します。しかし到着予定日以外にも、日本の港で発生する輸送費や作業料・雑費が記載されており、記載額を支払う必要があります。利用状況や荷物によって金額は様々です。こちらは【非課税】項目になります。
2.4.D/O Fee
D/O書類の発行時に発生する手数料のことを指します。D/O発行時に発生する金額はアライバルノーティスに記載されているので確認してみましょう。また、近年D/Oレス処理という紙媒体ではなくペーパーレスでD/O処理を行うケースがほとんどです。D/O Feeの相場は5,000~6,000円ほどであり、こちらは【課税】項目に該当します。
2.5.陸上輸送トラック代
無事輸出許可が下りたのち、保税倉庫から次の保管先に輸送する際のトラック代が発生します。このとき、車輛は自分で手配することもできますが、フォワーダーに保管先の納品までを行ってもらうケースが圧倒的に多いでしょう。こちらは【課税】項目です。
2.6.関税、消費税、地方消費税
発生する税金に関しても、フォワーダーが立替支払いを行っているため支払いが必要になります。こちらは【非課税】になります。
3.税関検査がある場合の請求項目
では必ずしも発生するわけではない費用にはどんなものがあるでしょうか。これについては先ほど少し触れた輸入許可証の区分が関係してきます。輸入許可書の区分で「1」「2」と記載されている貨物に関しては実物検査は不要であるため、検査作業に発生する諸々の費用が発生しません。
しかし区分で「3X」「3R」「3K」「3M」などの3がつく表記になっている場合、X線検査や見本検査、検査場での全数検査など税関検査の対象であるため必ず作業が発生してしまいます。下記、順番に見ていきましょう。
3.1 税関検査料
これは税関検査に対して発生する費用ではなく、検査時に作業を行う作業者やその立ち合いをする立合者に対して発生する人件費のようなイメージです。実施する検査項目によって費用は変わりますが、1件につき10,000~30,000円ほどが相場で、こちらは【非課税】項目にあたります。
3.2 貨物搬出料
検査場にて税関検査となった場合、検査場まで荷物を輸送する際に発生する費用です。相場は1,300円ほどで【非課税】となります。
3.3 X線トラック代
X線検査となった場合、作業でトラックを使用するためそのトラック代が発生します。相場は10,000円~20,000円ほどです。こちらは【課税】の対象です。
他にも保管料はじめ、ケースバイケースでご紹介した以外の名目で費用が発生する場合があるでしょう。
4.まとめ
フォワーダーの請求項目について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。今回最も重要であるのは、輸入区分によって税関検査の有無が決まり、実際の検査次第で発生する費用項目の有無や請求金額の額が決まるということです。たとえ過去に輸入したことがある商品であっても、前回と同区分・同額の請求になるとは限らないのです。
そして、何よりも様々な輸入手続きを個人で行うには非常に手間と時間がかかります。フォワーダーへの依頼を必ず行うことを強くおすすめします。