インボイス・パッキングリストおよび 輸入における他法令確認書類について

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 輸出における必須書類について特に大事な「インボイス」と「パッキングリスト」。これらにはどんな役割があるか、何を記載する必要があるか、ご存じでしょうか。また、輸出する品物によっては通常必要とされる書類以外に追加で資料提出が必要な場合もあるんです。今回はインボイスとパッキングリストの記載事項と、一部品物の輸入で必須となる「他法令確認書類」について解説していきます。正しい資料の作成・提出を行うためにも確実な知識を身に着けていきましょう。

▼この記事で分かること▼

・インボイス、パッキングリストの役割と記載事項

・他法令確認書類の例とその対処方法

1.インボイスについて

では、インボイスから順に見ていきましょう。

1.1 インボイスの役割

インボイスとは一言で表すと「輸送貨物の商品の明細や金額・取引条件を記載したもの」です。資料の内容やその運用から明細書・請求書・納品書のような大事な役割を持ち輸出時には提出が必須です。作成は輸出者が行うものですが定型のフォーマットや記載様式は特に定められておらず、輸出者が独自に作成する必要があります。ですが、インボイスに記載しなければいけない内容などは明確に定められているため、正しく・漏れなく作成を行わなければなりません。

1.2 インボイスの記載項目

では実際のインボイスを見ながら、記載事項を説明していきます。

各項目の記載内容は以下の通りです。

①荷送人/売主(通常は輸出者)の社名、住所、電話・FAX番号

②インボイスナンバー(輸出者側で採番し番号の記載を行う)

③インボイスの作成日付

④荷受人/買主(通常は輸入者)の社名、住所、電話・FAX番号

⑤積載予定の本船名

⑥貨物が出港する日付または予定日

⑦船積港・仕向港

⑧輸出する商品名

⑨貨物全体の合計金額

⑩貨物の数量(ケース数)

⑪原産国

⑫貿易条件(インコタームズ)

⑬支払い条件(決済方法)

 どんなフォーマットであれ上記の項目について正しく記載があれば問題ありません。万一、フォワーダーなどから情報不足の指摘を受けた場合はそれに従い情報の修正を行いましょう。

2. パッキングリストについて

では次にインボイスと併せて必要になるパッキングリストという資料について見ていきます。

2.1 パッキングリストの役割

パッキングリストとは一言で表すと「輸送貨物の梱包状態や重量、容積などを具体的に記載したもの」です。その名の通り「梱包明細書」としての役割を持ち、梱包形態や商品の重さなど、梱包状態が分かるよう記載されていた納品書のような役割を持つ書類でもあります。作成はインボイスと同じく輸出者が行うものですが、パッキングリストについても定型のフォーマットや記載様式は特に定められておらず、輸出者が独自に作成する必要があります。

 パッキングリストについても、インボイスと同様に記載が必要な内容が決まっているため、正しく・漏れなく、そして分かりやすい記載が必要です。

2.2 パッキングリストの記載項目

では実際のパッキングリストを見ながら、記載事項を説明していきます。

各項目の記載内容は以下の通りです。

①商品写真

②製造メーカ名

③商品のJANコード

④商品名称

⑤商品の分類名

⑥1商品あたりの重量

⑦商品の申告単価(税込みで記載)

⑧1箱あたりの入り数

⑨ケース数量

⑩商品の総数量

⑪Net Weight(商品の重量)

⑫Gross Weight(箱を含めた全体の重量)

⑬1箱あたりの縦・横・高さ

⑭m3単位で容積換算

⑮1商品あたりの総額

⑯商品全体を容積換算

 パッキングリストについても、上記の項目が正しく記載されていれば形式や書式がどのようなものであっても問題ありません。ただし、商品の数量や1箱あたりのSKU、ケースの数量が増え煩雑になってくる場合は分かりやすく記載されているかどうかがより重要になってくるでしょう。

 輸出者が作成したインボイス・パッキングリストは輸入申告時にも必要になります。

そして最後に、輸入申告時にこれら資料2点以外の他の資料が必要になる特別なケースについてお話します。

3. 輸入申告における他法令貨物について

輸出入で必要な資料としてインボイス、パッキングリストの記載項目を具体的に見てきました。これら2つの資料以外で輸入申告時、特定の品物はさらに追加で資料の提出や手続きが必要であることをご存じでしょうか。これの対象となる品物を「他法令貨物」と呼び、通常の輸入税関申告に加え別の行政機関への確認が必要になります。

では具体的にどんな品物に対して何の手続きが必要になってくるのでしょうか。

3.1 具体例と必要な手続き

3.1.1 ①食品衛生法に該当するもの

6歳以下のこどもや乳幼児のおもちゃ、食器など口に触れるもの(ステンレスを除く)は輸入申告時に下記資料の準備が必要です。

 ・食品等輸入届出書(=食品届出) 2部(1部はコピー)

 ・商品に関する情報、品名、製造者、住所、形状、材質、色柄の資料

 ・塗膜、可塑剤の有無(フタル酸エステル使用の有無についての資料)

 ・対象年齢、使用方法が分かる資料

 ・商品説明書など

 そして、商品が届いたら厚生労働省へ輸入届を提出しなくてはなりません。実際に検疫所にて検査が実施され、審査に通れば食品等輸入届出済証が発行されます。これで輸入手続きが完了です。

3.1.2 ②医療品・医療器具等に該当するもの

サプリメント、美容器具、健康器具に該当する恐れのあるものは薬機法に触れていないかどうか輸入前にしっかり調べておく必要があります。薬機法に該当する場合、「輸入確認証(薬監証明)」を取得しなければいけず、これを取得するためには下記資料の提出が必要です。

・輸入報告書(2部)

 ・インボイスの写し

 ・AWYもしくはB/Lの写し

 ・必要理由書

 ・商品説明書

 ・医師免許所のコピー

 上記資料を提出し、輸入確認証(薬監申請)の交付が認められた場合のみ輸入が可能になります。医療品・医療器具の個人輸入は医師や獣医が治療・研究目的で使用する場合に可能になるものであるため、医師・獣医免許を持っていないと申請そのものができません。医師・獣医でない者が薬機法に該当する可能性が少しでもある商品の輸入を考えている場合、まず輸入前に薬機法に触れないかどうかを詳細に調査する必要があるでしょう。触れている場合、免許を持たない個人はもちろん輸入ができません。

4. まとめ

インボイス・パッキングリストをはじめ、輸入で必要になる各法令の資料についてお分かりいただけましたか?今回ご紹介した内容はすべて輸出入において非常に重要な資料ですので、正しく理解をすることが大事です。特に食品衛生法や薬機法は内容が複雑になっているため、輸入時は各申請先の省に問い合わせを行うこともおすすめします。